Cafe Racer the motorcycle 表紙のインパクトとタイトルから、1960年代におおいに盛り上がったロッカーズをガッツリとフィーチャリングしたスタイルブックかと思いきや、中身を見てびっくり! なんとこの本、カフェレーサーをキーワードとした粋なカスタムバイクの真髄を追求するという深いものでありました。
 かつて自宅のバックヤードで両手を真っ黒にしてマシンをいじり、誰よりも速くそしてかっこいいバイクに仕立て、仲間が集まるカフェに乗りつけた若者たち。やがてそれらのバイクのディテールには乗り手の生き様が反映されるようになり、そんなたくさんのマシンが放つ不思議なオーラがいつしか”ロッカーズ”と呼ばれるようになった。つまり、カフェレーサーという言葉には単なるカスタムマシンという呼び方とは違ったニュアンスがあるわけで、それは趣味性という枠ともまた少し違ったものなのであります。とことん追求すればそれは”オリジナリティ”の一言に尽きるのだろうけれど、でもそこにはバイクというマシンだけではなく、世の中そのものに対するテーゼのようなものが見え隠れしたのであります。

 そんなカフェレーサーのルーツを紐解きながら「流行り廃りにかかわらず、オーナーの図太いポリシーが反映されたマシンは、時代に関係なくいつだって超カッコいいのだ!」という永遠の真実を、この1冊が証明しているのであります。
 もちろん希少なカスタム車両も登場しますが、カフェレーサーに脈打つ活きたカッコよさはメーカーも注目していて、なんとかそれを製品にフィードバックさせたいと努力しておられる部分を垣間見ることができるところもまた面白いのであります。
 14頁のビンセントカフェにて数十分うっとりとし、150頁の965ccノートン製モダンシングルで朝まで興奮しちまう……、そんな魅力的な1冊でありました。大人のカスタム追求派は必見! あぁ、日本にも大人のカフェが集まる場所があればいいな〜
Yamahen

「Cafe Racer the motorcycle」
ハードカバー/W225×H260/カラー/英語/160p/
税込価格 5,880円 (本体価格 5,600円)