ポルシェレーシングカーのスターの筆頭といえば917でしょう。

退役40年にもなろうかというにもかかわらず
昨年は917の本が花盛りでした。







一体なぜ?と思っていたらこのDVDを見て疑問は氷解、



理由はグッドウッド・フェスティバルでした。
'09のフェスティバルは同車を大々的にフィーチャー。
事前にグッドウッドでのフィーチャーが決まれば
それを目指してのレストアプロジェクトが同時多発的に発生、
それを元にした企画の数々が相次いだ出版の理由のようです。

そしてポルシェレースカーのスター、一方の双璧がグループC、956でしょう。

加えてこの2大スターをつなぐ橋渡しといえるのが936です。

この936、当時既にレーシングカーの主流は
モノコック構造だったのに反し
チューブラースペースフレームという旧来の構造なのは
ベース車を917と同じくするからなのです。

そのベースとなったのが908です。



917と同時代をそのアシストとして走り
大排気量車が締め出された'70年代もサーキットに残り
F1エンジンのライバルたちと戦い
ターボを得ることによってなお一線級にとどまった歴戦の兵です
このターボチャージド908(908/4)が936の直接の母体となりました。

近代ポルシェレーシングカーの系譜はモノコックの904にはじまり
スペースフレーム車となるのは後継車906ですが
両車には同社のお家の事情を反映した部分が多々あり
そういう意味で「純粋な」スペースフレームレーサーの元祖としては910が云々
と細かい話があるのですが、ここでは割愛(笑)

加えて917は
ポルシェスペースフレームレーサーとしては
究極だけに、ある意味「傍系」、

と考えればその「本流」は908となるのです。

そしてその908から936(そして956)へ至る流れの中にも
非常に細かい話があり
これを分かり易く説き明かしてくれたのが、近着の



数々の洋書、あるいはレースリポートから得られる断片的情報を整理し
日本語でまとめてくれた編者の
知識、取材、そして出版するその努力には感服致しました。

無条件でおすすめです。

東京店 T.K.